犬の避妊去勢手術のメリットとデメリット 
      米国獣医大学の有名な論文を翻訳

 
 人の避妊やパイプカットと犬の避妊・去勢とには根本的な違いがある。その月とスッポンほどの違いを知らない愛犬家が多すぎる。盲人蛇を恐れずと同じであり、飼い主が無知だと、その愛犬が被害を受ける。犬の医療技術は人のそれよりも100年以上遅れている。その実例の一つが避妊・去勢だ。犬の卵巣や睾丸を切除する。自然の摂理に反逆する蛮行だ。人の場合には絶対にしない不正な手術だ。
  卵巣や睾丸は人も犬も女性ホルモンや男性ホルモンを分泌している大切な器官だ。それを切除された犬はホリモンバランスが狂っていろんな病気を発症する。
 ブログ「愛犬問題」では、日本国内の事例を取り上げて、避妊・去勢の弊害を論じてきた。詳細は避妊去勢有害無用論の随想集にある。
 今回はアメリカの学術論文を一般愛犬家にも理解できるようにやさしく翻訳して紹介する。
アメリカは日本とは違い、愛玩動物の避妊・去勢の是非について、獣医大学で研究してその結果を公表している。その一つであるニュージャージー州立ラトガーズ大学の調査研究成果を全訳する。
 

Long-Term Health Risks and Benefits Associated with Spay / Neuter in Dogs

 犬の避妊・去勢による健康上のリスクと利点 ・・長期観点から統計調査・・
Laura J. Sanborn, M.S.(理学修士)        May 14, 2007

 大意
 獣医も愛犬家も犬に避妊・去勢手術をすべきかどうかについては深く考えるべきである。 従来の考えでは、幼少期の犬に避妊・去勢手術をすると、リスクよりもメリットのほうが大きいと言い伝えられてきた。 避妊・去勢の可否に関する相反する証拠が蓄積された現在でも、従来の考えが今なお支配的である。
 獣医学の学術論文50編以上を調査して、この論文で避妊・去勢手術が犬の健康に与える影響を明らかにした。 犬は避妊・去勢手術により、骨肉腫、血管肉腫、甲状腺機能低下症、その他いろんな疾病を誘発するという調査結果は誰も否定することができない。  犬の避妊・去勢の是非について、犬の健康と幸福の観点からは考えてないのは獣医も愛犬家も無責任である。

ニュージャージー州立ラトガーズ大学 准教授 獣医学Chair(部門総括教授)
Larry S. Katz PhD(博士)

                概要

去勢のメリット

1 睾丸ガンで死ぬ犬はごくわずかだが、そのリスクをなくする。 
2 前立腺疾病の発病を低減する(ガンの場合は防止できない)。
3 肛門ろう菅症、肛門周辺フィステルのリスクを低減する。

去勢のデメリット

1 1才未満で去勢手術をすると、骨のガンである骨肉腫のリスクが著しく増大する。
2 心臓の血管肉腫のリスクが増大する。
3 甲状腺機能低下症のリスクが、去勢しなかった場合に比較して、3倍になる。
4 加齢性認識機能障害のリスクが増大する。(つまり、早くぼける。)
5 肥満のリスクが3倍に増大する。
6 前立腺ガンのリスクが4倍になる。
7 尿路ガンのリスクが2倍になる。
8 体形奇形のリスクが増大する。
9 ワクチンに対する拒絶反応(副作用)が増大する。

 
卵巣切除のメリット

 メス犬の避妊手術後の状況はオス犬の場合よりも複雑になる。
1 2才半以前に避妊手術をすると、乳腺腫瘍のリスクが大きく低減する。
2 子宮蓄膿症のリスクがほとんどなくなる。
3 肛門周辺フィステルのリスクが低減する。
4 子宮や頚および卵巣のガンのリスクが低減する。


 卵巣切除のデメリット
1 1才未満で卵巣を切除すると骨のガンである骨肉腫のリスクが著しく増大。
2 脾臓と心臓の血管肉腫のリスクが増大する。
3 甲状腺機能低下症のリスクが増大する。
4 肥満のリスクが増大する。
5 尿失禁をするようになる。
6 尿管の感染症が頻繁に再発するようになる。
7 外陰部の皮膚炎や膣の皮膚炎、膣炎のリスクが増大する。 特に、思春期前に避妊手術をした犬に多発。
8 尿路腫瘍のリスクが増大する。
9 体形の奇形のリスクが増大する。
10 ワクチンに対する拒絶反応(副作用)のリスクが増大する。


 
避妊・去勢手術の後遺症の各論

 甲状腺機能低下症

卵巣切除・去勢手術をした犬は、手術をしてない犬に比べて甲状腺機能低下症になるリスクが3倍になるという因果関係が明らかになった。 研究者たちは、その因果関係を提示している。
卵巣切除・去勢が甲状腺機能低下症に温和な直接的な影響を与えると言うことよりも、もっと重要なことは、卵巣切除・去勢と甲状腺機能低下症が共に性ホルモンの分泌に影響を与えることである。その性ホルモンは免疫システムに関与している。 マウスの去勢が自己免疫性甲状腺炎を悪化させると言う事実は、犬の卵巣切除・去勢と甲状腺機能低下症の因果関係の証明に役立つだろう。 犬の甲状腺低下症は肥満、無気力、脱毛、および、生殖機能の異常をもたらす。    

 骨肉腫(骨の癌)  いろんな犬種の犬が骨肉腫になるリスク要因について調査研究したところ、避妊・去勢手術をした犬は雄雌共に、してない犬に比較して、骨肉腫に罹病するリスクが2倍になることが明らかになった。
 犬種の一つであるロットワイラーが骨肉腫になるリスクが比較的に高いことはすでに研究されていた。 同一犬種について歴代の犬を遡及的に調査研究した結果、若い時に避妊・去勢手術をした犬は骨肉腫になるリスクが高いことが明らかになった。言い換えると、年齢が増えてから避妊・去勢手術をした犬は、その加齢が増えるにつれてそのリスクが低下する。

 1歳未満で避妊・去勢をしたロットワイラーは、してない犬に比較して、雄で3,8倍、雌で3,1倍の比率で骨肉腫に罹病しやすい。実際、1歳未満で避妊・去勢したロットワイラーは、骨肉腫に罹病するリスクが、雄で28,4%、雌で25,1%であった。

 この結果は、いろんな犬種で早期に避妊・去勢した犬の研究結果とも一致している。即ち、不妊手術をした時の犬の年齢は骨肉腫の発病の恐れを評価するファクターとして扱えるという利点をもたらした研究結果と一致する。
 これらの二つの研究で明らかになった結果を結びつけると、1歳未満で避妊・去勢をした犬は、骨肉腫のリスクが著しく増加するという論理的な結論に到達する。

 性ホルモンは骨の構造の形成とその大きさの保持に関与していることは周知のことである。その上に、今回の研究で明らかになったことは、性ホルモンの影響を受ける時間と骨肉腫のリスクとの間には反比例の関係があるということである。
 犬種のサイズが大きいほど、特に体重が大きいほど骨肉腫になるリスクは増加する。 骨肉腫は中型犬種、大型犬種、超大型犬種では一般的な死因である。
骨肉腫はゴールデン・レトリバーの場合、三番目に最も一般的な死因であり、さらに大きな犬種では、もっと普通の死亡原因である。

 骨肉腫は発病後の経過が悪いことや多くの犬種で予後の悪さが頻繁に起こっていることを考慮すると、中型犬種、大型犬種、および、超大型犬種は幼犬時に避妊去勢をすると骨肉腫になって死亡するリスクが著しく増加する。  

 前立腺癌
一般の人が入手できる犬の避妊・去勢に関する情報の多くは、不妊手術をすると、雄犬は前立腺癌になるリスクが減るとか無くなると(証拠もなく)言い張っている情報だ。
人間の前立腺癌が男性ホルモンのテストステロンと関係があることを考慮すると、その言い分は納得し難い説とはいえない。 しかし、犬の場合、前立腺癌に関する証拠は、その言い分を支持してない。 実際、最も強力な証拠はまさしく正反対のことを示している。
 犬の不妊手術に関する免疫学的研究では長年いくつかの相反する研究結果が報告されている。つまり、去勢手術をした犬は前立腺癌が増えると言う研究と、逆に、低下するという研究がある。これらの研究を正しく評価するのはきわめて難しい。 この文章は相反する研究結果があることを部分的に説明しているに過ぎない。

 ごく最近、犬の世代を遡って調査した研究成果が二つ報告されている。その一つは、ヨーロッパで、もう一つは、アメリカで発表されている。この二つの研究で、去勢した雄犬は、してない犬よりも、前立腺癌になるリスクが4倍も高くなることが明らかになった。
 これらの結果に基づいて、研究者たちは去勢手術と前立腺癌の発症との間には因果関係があると提示している。 不妊手術が犬の前立腺癌の発症を引き起こすことはないが、発生した腫瘍の進行に関与していることを示している。この研究で、犬の前立腺癌のほとんどは精管内に発生し、ウロトロピン由来の癌であることがわかった。

 去勢手術をしてない普通の犬に前立腺癌の発生が比較的に少ないことは睾丸ホルモンが前立腺癌の発生を事実上防止していることを示している。または、前立腺の環境を変えることによって癌が発生しないように間接的に影響を与えているかも知れない。
  この問題は将来を見通した上で正しいものの見方で判断すべきである。人の場合と違い、犬の前立腺癌は滅多にないことだからである。  犬の検死の調査結果で明らかになった犬の前立腺癌の発生率は0,6%以下と少ないことを考慮すると、不妊手術をすべきかどうかを決める時に、不妊手術を前立腺癌のリスク要因として重く考慮すべきかどうかの判断は難しい。
犬種の一つであるブーヴィエデフランドルについて、不妊手術は前立腺癌のリスクを増加するという証拠があるに過ぎない。 データはきわめて少ないが、我々は他の犬種についても関心を持っている。  

 肥満

 避妊・去勢手術をした犬は、してない犬に比較して、太り気味、あるいは、肥満の傾向が強い。新陳代謝の変化が原因である。
避妊手術をした雌犬は、してない雌犬に比較して、肥満になるリスクが2倍になることが一つの研究で明らかになった。
 他の研究結果でも、不妊手術をした犬は、してない犬に比較して、雌で1,6倍、雄で3,0倍肥満の傾向があることが明らかになった。
 更に、雌で1,2倍、雄で1,5倍太り気味の傾向があることがわかった。

 イギリスの獣医団体が実施した調査研究によると、21%の犬が肥満であった。
肥満、あるいは、太り気味であることは、犬の健康問題の主題になっている。

 太り気味の犬はアドレナリン過剰症、甲状腺機能低下症、下部尿路疾患、口周縁部の疾患と診断される傾向がある。

 肥満の犬は甲状腺機能低下症、糖尿病、膵臓炎、新生腫瘍と診断される傾向がある。

 ワクチンの副作用

 犬のワクチンの副作用について世代を遡って一団の犬を調査研究した結果、犬のワクチンの副作用には、アレルギー反応、蕁麻疹(じんましん)、アナフィラキシー、心拍停止、心臓ショック、および、急死があることがわかった。

 避妊した雌犬は、してない雌犬に比較して、副作用が30%以上多く、去勢手術をした雄は、してない雄に比較して、27%多いことがわかった。

 犬自体の体内の能力として、性ホルモンはワクチンに対して免疫的に反応する役割を果たしていることも含くめ、研究者たちは避妊・去勢手術とワクチンの副作用については因果関係を示すメカニズムがあると論じている。

 愛玩犬種と小型犬種はワクチンの副作用について高いリスクがある。
ボクサー、イングリシュ・ブルドック、ラサアプソ、ワイマラナー、アメリカ・エスキーモー犬、ゴールデン・レトリバー、バセットハウンド、ウェルシュ・ゴーギー、シベリアン・ハスキーグレート・デン、ラブラドール・レトリバー、ドーベルマン、アメリカン・ピット・ブル 、および、秋田犬。

 雑種の犬はリスクが低いことがわかった。そのことは、遺伝的な特異体質(混血がもたらす活力)によるものだろうと思っている。

(翻訳者の注釈
アナフィラキシーとは注射薬剤やスズメバチの毒などによるアレルギー反応の悪の親玉みたいな反応。ショック死することが多い。)

 精巣腫瘍・睾丸癌

 精巣腫瘍の発症前に去勢手術をすると、当然、その後は精巣腫瘍の発病はない。精巣(睾丸)そのものが切除されてなくなっているからである。 ない臓器が発病するわけがない。
 だから、この論文では、不妊手術をしてない犬の精巣腫瘍のリスクと比較して論ずる。
 
 精巣腫瘍は、その発生率が7%であるので、一般的ではないとはいえない。
しかしながら、精巣腫瘍は、その転移率が低いために病後の回復の見込みはきわめて良好である。
 たとえば、Purdue大学がゴールデン・レトリバーについて犬種ごとの健康調査をした結果によると、精巣腫瘍による死亡はきわめて稀であった。その精巣腫瘍は、獣医師会が実施確認した犬の死亡原因調査報告書に記載されている犬の重大な死亡原因のリストには載ってない。
 その調査対象になったゴールデン・レトリバーは40%が不妊手術をしてない雄犬であったことは注目すべきことである。しかも、精巣腫瘍の治療を受けたゴールデン・レトリバーの治癒率は90,9%であった。

 このことは犬の精巣腫瘍の転移率が6〜14%であると言う他の研究結果とも一致する。
頻繁に発生する精巣腫瘍であっても、その治癒率は高いので、去勢手術をしてない雄犬が精巣腫瘍で死ぬ比率は1%以下であるといえる。

 要約すると、犬は若い時に去勢手術をすべきだと言うのが獣医の最も一般的な言い分だが、犬は生涯を通じて精巣腫瘍に罹病するリスクはきわめて低いことを考慮すると、去勢すると雄犬の精巣腫瘍を防止できるというのは正当な理由だと認めるのは難しい。

 睾丸が片方だけ、あるいは両方とも腹部に滞留したままで、所定の位置に下りてこない停留睾丸の場合は例外があるかもしれない。停留睾丸は13,6倍も腫瘍が発生しやすい上に、普通の身体検査では腫瘍を見つけることが難しい。

 血管肉腫・癌

血管肉腫は犬では普通に見られる癌である。犬種によっては主な死亡原因の一つである。
例えば、 サルーキ、フレンチブルドッグ、アイリッシュ・ウォータース・パニエル、フラッドコーティド・レトリーバー、ゴールデン・レトリーバー、ボクサー、アフガンハウンド、イングリッシュセッター、スコットランド・テリア、ボストンテリア、ブルドッグ、およびジャーマン・シェパード。

 犬を年齢別に調査研究した結果、避妊手術をした雌犬は、してない雌犬に比較して、脾臓の血管肉腫が2,2倍多く発生していることがわかった。

 心臓の血管肉腫に関して世代を遡って調査したところ、避妊手術をした雌犬は、してない犬に比較して、血管肉腫になるリスクの要因が5倍以上大きいことがわかった。また、去勢手術をした雄犬は、してない雄犬に比較して、1,6倍高いこともわかった。

 その調査研究をした人たちは、性ホルモンは血管肉腫に対して防御的な効果があると論じている。特に雌犬ではその効果は顕著である。

 血管肉腫が重要な死因である犬種の場合、犬の不妊手術をするかどうか決める時に、犬は不妊手術で血管肉腫になるリスクが大きくなることを考慮すべきである。

 泌尿生殖器の障害  

 尿失禁は避妊手術をした雌犬に普通に見られる。その尿失禁は手術をして間もなくか、数年を待たずして見られるようになる。
その尿失禁の発生率は、避妊手術をしてない雌犬はわずか0,3%であるのに対し、避妊手術をした雌犬は4〜20%であることが調査研究で明らかになった。
尿失禁は避妊手術と強くリンクしているので、一般に避妊性尿失禁と呼ばれている。尿失禁の生物学的なメカニズムは不明だが、尿道の括約筋によって引き起こされるものである。

 多くの(すべてではない)の尿失禁の犬は薬による治療が必要である。しかも、多くの場合、その治療は生涯続けることが必要になる。

 世代を遡って犬を調査研究したところ、しつこく再発を繰り返す尿管(膀胱)の感染症が、避妊手術をした雌犬は、してない雌犬に比較して、3〜4倍も高かった。

 他の世代調査研究では、5歳半以前に避妊手術をした雌犬は、5歳半以後に避妊手術をした雌犬に比較して、尿管(膀胱)の感染症が2,76倍も多く発生していた。

 避妊手術をした年齢により、犬は性器の外部に異常な兆候を現す。避妊手術をした雌犬は陰門が奇形になったり、膣の皮膚炎、膣炎、および、尿管(膀胱)の感染症を引き起こす。
思春期以前に避妊手術をした雌犬は、このリスクが高い。

雌犬の生殖管の癌  子宮癌、子宮頸癌、および、卵巣癌

犬の子宮や子宮頸管の腫瘍はめったにない。犬の全腫瘍の丁度0,3%を構成していて少ない。
避妊手術をすると、卵巣腫瘍のリスクを取り除くことは出来るが、そのリスクはわずか0,5%に過ぎない。
避妊手術で生殖管の腫瘍のリスクを取り除くことは出来るが、そのリスクは相当低いので、避妊手術で子宮癌や子宮頸癌、卵巣癌のリスクを防止できるということは正当化できない。

泌尿器の癌  膀胱癌と尿道癌
世代を遡って犬を年齢別に調査研究した結果、避妊・去勢をした犬は、してない犬に比較して、下部尿路腫瘍(膀胱または尿道)が2倍以上多く発生していたことがわかった。
それらの腫瘍はほとんどの場合悪性であるが、頻繁には発生しない。犬の腫瘍の1%以下を占めているに過ぎない。だから、犬の避妊・去勢手術をすべきかどうかを決める時に、泌尿器の癌のリスクは重視すべきではない。
エアーデール、ビーグルとスコティシュ・テリアは泌尿器の癌になるリスクが高いが、一方、ジャーマン・シェパードはリスクの平均値よりも少ない。


 肢体障害・骨の異常形成  

 外科手術で卵巣を切除すると、犬の骨盤の骨である腸骨の再構築の速度が増す。そのことは、避妊手術をしたことにより、股関節が異常にゆがめられて作られること意味する。
卵巣を切除すると、背骨の骨量が実質的に失われて少なくなることも明らかになった。

 幼犬の時に避妊・去勢手術をすると、各種の骨の成長板がその成長を止める時期が遅くなる。成長をし続け骨の長さが著しく長くなる。そのため、避妊・去勢手術をしなかった犬や成犬になった後に避妊・去勢手術をした犬よりも骨が異常になる。
 各種の骨の成長板はその成長を止める時期が異なっている。そのため、避妊・去勢手術をした時期によって、犬の体は不自然なプロポーションになり、関節の性能と長期耐久性に悪影響を与える可能性がある。
避妊・去勢手術の時期が、ある骨の成長板はその成長が止まった後であったのに、他の骨の成長板はその成長が止まる以前であると、成長が止まった骨と成長が続いている骨が混在してしまうからだ。

 避妊・去勢手術をすると、犬は頭蓋十字靭帯断裂症になるリスクが2倍に増える。おそらく、そのことは肥満になるリスクを増やすことに関係している。

 5歳半以前に避妊・去勢手術をすると、5歳半以後に避妊・去勢手術をした犬に比較して、股関節が異常に形成されるリスクが70%増える。
、若い時に卵巣や睾丸を切除をした結果、骨の長さが増え、関節の形成に変化をもたらしている可能性がある。そのことは、股関節が異常にゆがめられて形成されているかどうかの診断に応用できるだろうと研究者たちは論じている。

 犬種ごとの健康調査をエアデールについてした結果、避妊・去勢手術をした犬は、してない犬に比較して、いろんな筋骨の障害と同じように股関節形成不全に悩まされていることがわかった。しかしながら、股関節形成不全、または、筋骨障害であるという理由で避妊・去勢手術をされた可能性のある犬もいるように、困惑させられる事例もある。

 股関節形成不全と診断された6ヶ月前に不妊手術をした犬は、避妊・去勢手術をしてない犬に比較して、股関節形成不全と診断された比率が1,5倍であることが他の研究結果でも明らかになっている。

 避妊・去勢手術をしてない犬に比較して、避妊・去勢手術をした犬は膝頭の脱臼のリスクが3,1倍高いことが明らかになっている。


 老齢性認知症・老齢性記憶障害症候群 

 去勢手術をした雄犬と避妊手術をした雌犬は、不妊手術をしてない普通の犬に比較して、年老いた後に軽い認知症よりも重い認知症になるリスクが高い

 その老齢性認知症になるリスクを詳細に決めるために利用できるだけの十分な数の避妊手術をしてない老齢な雌犬はいなかった。
 老齢性認知症の犬は、屋内や屋外で方向感覚を失ったり、家族の一員としての社会的な触れ合いが変化したり、屋内でのしつけが無駄になったり、寝起きのサイクルが変化したりする。

 この調査研究結果は、テストステロンとエストロゲンが細胞レベルで神経を保護する役割を果たしているという最近の研究結果と同一線上にある。そのエストロゲンは女性のアルツハイマー病に予防的な役割を果たしている。

 エストロゲンは避妊手術をしてない雌犬にも同じ保護的な役割を果たしていると研究者たちは推測している。
しかし、残念ながら、避妊手術をしてない雌犬の数が少なすぎたので、今回の研究ではその推測を実証し、結論づけることは出来なかった。 


 翻訳者 : ブログ「愛犬問題」開設者 : Paroowner

  ブログ「愛犬問題 犬の身になって考えてみよう

  愛犬たちの住む世界は魑魅魍魎(ちみもうりょう)の妖怪が暗躍している世界です。
愛犬たちが多大な被害を受けています。かわいそうですね。
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