愛犬と登山 パピヨンと高山200回以上の教訓
 種子だけが発芽し、山の植生を変えるという奇怪な話
 山の自然環境保護の記事の中に「犬の糞に含まれていた種子が発芽し、山の植生を変化させるおそれがあるから、犬は入山禁止」の記述を見たことがある。
科学的常識が欠如している。このような内容を発表した人も、それを記事にした記者も脳の思考中枢が機能不全である。
 
 どこで飼っているだから、そのから出た種子が発芽するのだ。発芽するからには、その種子は生きている。なまである。即ち、熱加工は一切されてない。
沸騰なら、瞬時に、50〜60℃でも長時間なら、種子中のDNAは熱変形して、遺伝子としての機能は失われる。
 
 今時、生の種子の入っている犬の餌を入手するのは至難である。
加熱処理した後に、カビさえ生えないように多量の防腐剤を入れているが実状だ。仮に、生の種子が入っているような餌が入手できても、犬が食べない。今の犬は、人以上に好き嫌いが激しい。人が食べず、犬が好むような種子の入った餌があるとは、何十年も犬を飼っていて、聞いたことがない。何の種子だ。

 犬の糞が植生を変えたという科学的な実証はない。地球上に、そのような歴史も当然ない。
 
 ブドウやスイカ、ミカンを食べる犬は多いが、その糞から出る種子は人のものと区別できない。観光化した山で問題になっているのは人の糞の多さだ。その中の種子は発芽しないのか。

 犬のものだけが発芽するとでも言いたいのか。犬嫌いは、何でも犬のせいにしたがる。
犬のに雑草の種子がからみつき、それが原因で、山の植生が変わるから、犬は入山禁止と主張する人もいる。
 正しいようで、間が抜けている。
 
 山野にはキツネ、タヌキ、イノシシ、ウサギ、オコジョ、シカ、イタチ、リス、ネズミ、クマなどの在来種のほかに、ペットが野生化した外来種のアライグマやスカンクなど沢山の野生動物が生息している。犬と同じ毛のある動物だ。それらの動物は犬と同じように種子を運ぶだけでなく、その総数は比較できないほど多い。
 犬の行為が悪いというなら、その行為は濁流の一滴にすぎない。
犬入山禁止は何の影響も効果もない。あるというなら、科学的に実証した証拠を求める。それを示さずに、空想で、他人の行動を制限しようとすることは責任感のない口達者な詐欺師と同じやり方だ。

 自然界は動植物が相互に依存しながら、進化し、生存してきたことを理解すべきだ。短絡的に、近視眼的に、あるいは、局所的に物事をとらえると、自然界の摂理を理解することはできない。
 犬は何千万年前から、地球上で他の動植物と関わりあいながら、進化して生き延びてきた動物だと言うことを忘れてはならない。その間、犬が自然環境を破壊したという記録はない。
 
 オオバコが登山道の近傍に繁殖しだしたのは、犬が原因だと言いだした某県の自称研究者は真の研究者でも科学者でもない。オオバコの種子のキャリアが膨大な数の登山者の登山靴であることは、科学的実証を待つまでもない。おそまつな研究者である。無知蒙昧で世の中を愚弄している。科学者の風上に置けない人達である。社会常識がなさすぎる。
 
別項犬が山の自然環境に与える影響  犬は環境破壊をするに詳述。

 
犬だけがダニ細菌のキャリヤ−になるというおかしな話。
 自然環境で自由に生息している野生動物も当然、ダニを運ぶ。その数は犬の数と比較できないほど多い。野生動物はダニや細菌は運ばないとでも言いたいのだろうか。むしろ、犬の方がダニやノミなどは運ばない。フロントラインなどの犬猫用ノミ・マダニ駆除剤が広く用いられている。やや高価なのが、玉に瑕だが、よく効く。
 
 犬は病原菌のキャリヤ−としても、他の動物と同じなのだ。
その動物には、学名ホモ・サピエンスの霊長類のヒトも含まれる。

 犬が入山禁止なら、ヒトも禁止しなければ、科学的な効果は期待できない。
立山のライチョウが皮膚病になったことで、「犬が原因?」と朝日新聞に記事を載せた短絡軽薄な記者がいる。そういう輩は、自分自身を神に近い無菌の存在と思っているようだ。
ヒトは、ありとあらゆる細菌のキャリヤになりうる動物であることを認識いてない。犬が嫌いだから、犬は入山禁止というなら、そう言うこともあろうと思う。蛇が怖い人にとって、山で蛇にあうと、楽しくはないことと相通じる所があるからだ。

 しかし、犬は動物だから、入山禁止と言われると、その人の見識まで疑いたくなる。詳細は別項目 ライチョウの絶滅激減はのせい?犬禁止で絶滅いない? に朝日新聞の偏見記事について論及してある。 
        
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山岳鉄道の犬の乗車拒否 犬は自然環境を破壊する?
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