愛犬と登山 パピヨンと高山200回以上の教訓
  目的地コンパスセットで安全登山  
マニュアルで簡単にセット     
 
   登山で最も大切なものは安全である。   
 
 その安全確保の有効な方法であるコンパスの使い方を知らない登山者が多い。登山ブ−ムに誘われた中高年者だけかと思っていたら、大学のワンゲルなどの登山クラブのメンバ−の中にも、コンパスの使い方を知らない学生が多い。
遭難救助
 せっかく、コンパスは登山に携行しているのに、その使用方法は知らないのである。登山を趣味の一つとするなら、登山の楽しさと安全のためにコンパスは使いこなせる方がよい。
 市販されているコンパスに付属している使用説明書は、確かにわかりにくい。よほどの秀才で、しかも、時間があり余るほどの人でないと、理解できないほど回りくどく書いてある。
 登山やハイキングで、初めてコンパスを使えるようになりたい思っている人が容易に理解できるように要領よくまとめて記述してもらいたいものだ。コンパスは安全確保の第一歩だから。
 
 ここでは、マニュアル通りに実行すれば目的地の方向がわかるように記述してある。
なぜ、そうするのかは習得した後で考えたらよい。まず、使えることが先決だ。
 最初は頭では何も考えずに指先だけで青い太字部分だけを実行した方がよいでしょう。
 
 コンパスのわかりやすいセット方法
 現実に自分自身がいる場所の地図を広げる。
 自分自身が今いる現在地が地図の上で確認できることが、コンパス操作の第一歩だ。山の地図を持ち出して自宅で練習しても意味がない。街では方位の明確な街の地図で練習する。
 
 赤白の磁針の赤の方向に地図のN(真北)を合わせる。
 単に広げただけの地図は漫画と同じだ。コンパスの磁針の方向と地図のN
(真北)の方向を合致させてはじめて、地図として活用することができる。
 
 青いリングのコンパスの中心点を地図の現在地の上に乗せる。
 
 コンパスの目的地の矢印を地図上の目的地に向ける(図−1)。
  
 コンパス本体が動かないように固定する。
 
 コンパスの青いリングの回転部だけを回してセット用矢印磁針の赤の上にのせて同じ方向を示すようにする(図−2)。
 これで、地図がコンパスに乗り移ったことになる。セット終了。
その後は回転部は回転禁止。ポケットに入れたり、首に懸けておく。
 地図は再セットする時以外は不要である。
 
 山や街などで目的地の方向を確認するときは、コンパス全体を水平に動かして、セット用矢印磁針の赤の上にのせて、同じ方向を示すようにする。
 このとき、青いリングの回転部は決して動かさないこと。そこを動かすと、せっかく、セットしたものが消滅する。
 セット用矢印磁針の赤が重なって同じ方向を示したときの目的地の矢印の方向が目的地の方向である(図−2)。
  
  
図−1 図−2
 目的地の矢印→       目的地の方向 
 
  セット用矢印
   回転部の矢印
磁針の赤→ ←磁針の赤 
    と
セット用矢印
  を重ねる。
   ̄ ̄ ̄\
 コンパスの中心点
  青いリングの中心点
セット前の状態の例 セット終了時と目的地の
方向確認時の状態の例
 
 
  補足

 安全正確を期すには、コンパスで目的地の方向を確認する度に地図上で現在地の確認が必要であるが、日帰り程度の登山では、登山開始前に麓で一度セットすれば十分である。
 幾つものピ−クのある連峰の一つの山に初登山のときは、セットしたコンパスがあると、どの山に登るかを確認しながら登れるので楽しい。
 同じル−トの下山時は、コンパスの目的地の矢印の逆の方向に下山すればよい。異なるル−トの下山時は、山頂でコンパスの再セットが必要である。

 地図上で現在地の確認ができない場合、即ち、山中で迷ってしまった場合は、コンパスで正確な目的地の方向を知ることはできない。迷う前に、コンパスをセットしておくことが大切だ。
 コンパスは迷ってから、使い始めるものではなく、迷う前にセットしておくものである。保険と同じで、前もって備えておくものである。

 視界が良好で、遠方の山々の名前がわかっているときは、地図とコンパスを使って、現在地のおおまかな割り出しは可能であるが、視界不良のときは、無理である。単に東西南北がわかるだけである。

 コンパスの磁針の方位(磁北)は地域によって真北より5度(沖縄)〜9度(北海道)西に傾いているが(西偏 )、単に目的地の方向を知るときには、気にしなくてもよい。
 ただし、あの山は何という山か(山座同定)のときは、正確に磁北に合わせないと、隣の山をその山と同定してしまうことになる。
 正確な地図には真北表示の下に、例えば、東京都奥多摩の地図の場合、「磁針方位は西偏約6゜30′〜6゜50′」と西偏値が記載されている。その傾斜角度を分度器で測り、真北に対し、西に傾いた5〜10p程度の直線を引いておく。それが磁北の方向を示す磁北線である。
 地図に自分で磁北線を一本引いておくと便利だ。その磁北線に磁針の赤を合わせると、コンパスと地図を正確に使用することができる。

 コンパスの使い方は憶えるというより、何回も実際に使用して慣れることである。パソコンと同じだ。しかし、パソコンより簡単なので、忘れるのも簡単に忘れる人が多い。
 この文書をコピ−して、登山バッグに入れておいた方が安全でしょう。
   ( ただし、著作権はあるので無断転載はご遠慮ください。)

 地図の某大手会社の登山地図の西偏を表示する場所に傾斜角度7度の表示があるが、利用者を惑わす表示である。約30度の角度である。中学生でも知っている直角は90度、円は360度ということがわかってないようだ。西偏7度とは、ほんのわずかな傾斜である。その表示ではコンパスは活用できないので、注意が必要だ。有害無益な表示である。

正確な西偏値で磁北線を一本印刷した登山地図が出版されることを望む。
  
2004年版からはそのような表示の地図が出版された。ありがとうございます。
 
 磁針はなぜ磁北を示すか   余談
 地球は磁気を持っている巨大な磁石なのだ。その磁場の磁力で磁針が動く。
地球中心部には高温高圧の液体状の鉄やニッケルを主成分とする地核があって、それが磁石になっているのだ。
 
 北極や南極のオ−ロラも、太陽から地球にふりそそぐ陽子や電子の荷電粒子(太陽風、プラズマ流)を磁力で吸引するときに、その荷電粒子が地球の大気と反応してできる発光現象なのだ。
 
 そのオ−ロラも北極点や南極点で発生するのではなく、磁北極や磁南極を中心にした緯度64〜72度の地点で発生するのだ。地球の磁力線が、その地点を通過して、地球の内部を南北に流れているからだ。

 コンパスとオ−ロラは地球の磁力の賜なのだ。
 
 磁針が示す磁北極は北極点より西側にずれている。地球儀を見ればわかるように、北極点は北緯90度、西経90度にある。しかし、磁北極は北緯71〜73度、西経97〜98度で、北極点より西に7〜8度ずれている。そのため、コンパスを使う現在地が、北極に近づくにつれ、即ち、赤道より緯度が大きくなるにつれ、磁針の西側への傾き(西偏値)は大きくなる。沖縄約5度、東京約7度、北海道約9度、アラスカ約30度。

 同一地域でも西偏値にごくわずかな幅があるのは磁北極の位置が日々変化しているからだ。しかし、その原因は学術的には、まだ解明されてないとのこと。
 地球の自転や公転の影響で、地球のマントルに包まれた地核内の高温高圧の液体状の鉄やニッケルを主体成分とする湯が微細に波打っているせいではないのかなと、素人の凡人は気楽に推測している。

 磁石が北を示すことがわかって、航海に使用され始めたのは、中国で、西暦1100年頃とのこと。900年も前のことだ。現在、登山を趣味としていながら、コンパスが使えない人がいるとわかると、昔の人はびっくりすると同時に、自分達の偉さをあらためて認識するかもしれない。
 
 
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